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第6回 海外研修報告
第6回東京三栄会海外研修が2002年6月2日から1週間の日程で開催され、中国華東・華南地区を訪問致しました。
参加者23名は、それぞれに研修報告書を作成されましたが、その内のお一人、エームサービス株式会社海外プロジェクト部・紅林利弥氏のレポートをご紹介いたします。
各社・地区内容詳細 参加者リスト 行動記録
2002年6月11日 三栄会中国研修ツアーレポート
海外プロジェクト
紅林 利弥
日程:6月2日(日)〜6月8日(土)
見学地区
1. 上海:上海申井鋼材加工有限公司、上海宝鋼集団公司、上海GM、森ビル上海(HSBC)、上海三井物産
2. 蘇州、昆山:蘇州工業園区、統一崑山工場
3. 廣州:廣州本田、廣州松下空調器有限公司、台達電子有限公司、ELCOTEQ社、JUSCO
内容:(尚各社・地区詳細は別紙参照)
(1)上海
1)浦東地区
空港から約30分強で上海市外に突入。正直想像以上の町並であり、新興住宅、マンションは多数建設中。中心部は日本の新宿新都心と同様であり、屋台のような飯屋が林立していることは無い。都心部ということもあり昼食の価格帯も5元〜12元とその他地区と比較しても高給ビジネスマンが多い。森ビル上海のレクチャーによると今後も上海中心部である浦東地区はGDP 2桁成長を続けるものと思われ、世界一の金融センタービルも現在建設中。森ビルのようにAクラスのオフィスビルにはスターバックスはじめコンビ二や職域食堂もある。5年前に当社も企画はしたものの金額合わず諦めた経緯あるものの、目覚しいGDP成長率からして今後当社システムの導入について再度FSを要すると思慮。
2)上海申井鋼材加工有限公司、上海宝鋼集団公司
原料系に近い工業製品であり、日本では既に下火。中国では宝鋼といえば鉄鋼系名門であり、「大地の子」の舞台となった製鉄所であるが、WTO加盟後の競争力、急激に伸びるGDP等、同種の業態は当分成長すると思われるが、環境対応において、他国と比べてもISOが取得しやすいことからも果たして完備されているかは不安。特に工場を一歩出ると、上海中心部とは全く異なる光景。上下水道のインフラ未整備、汚染された水、ゴミ等、問題は多い。
3)上海GM
市街から車で40分程度。米国GMとのJV。ビューイック等の米国GMでは中級程度のブランドを生産し国内販売。180〜350万円程度の価格は中国人の平均年収の10倍以上とも言われるが、上海では購買力が高い。米国式の生産システムであり、日本のそれと比較すると社員のクオリティや生産能力は決して高くは無いが、アメリカ人のアバウトさと中国人は合うのではと思われる。因みに社員食堂は5ヶ所あり、ホテル運営会社に委託しているが、中国人は例えばカフェテリアシステムのように変わったものを持ち込めば受けるのではないかとのご意見賜る。
(2)蘇州・崑山
1)蘇州園区
上海市街から車で約1時間強。蘇州に到着。蘇州全体で人口280万人。開発地区である蘇州園区は主にハイテク系の企業を誘致する特別区。メリットは減税、ロジスティックス、グローバルインフラの確立である。特に日系企業にとっては園区の日本語通訳がおり、税金等の優遇政策も国は園区に一括任せている為、他地域よりも商談がスムーズとのこと。当地区には日立グループも進出しており、同系列の日京クリエイト社も食堂運営中。社員食堂は直営・委託に分かれており各社困っているとのこと。日京も評判悪し。園区側としては、区内に企業誘致するにあたってインフラとしても当社のような業態が必要な為誘致を希望しているが、リップサービスもあり慎重に進めるべき。但し当地区はMAX60万人に対し現在3万人。崑山統一工場にも車で20分程度と近く、今回のツアーで最もFSするに値する地区であると思慮。
2)統一崑山工場
蘇州から上海方面に戻ること20分。台湾企業が集中している崑山地区に到着。同地区は人口80万人。因みに大陸に来ている台湾人は日本人の10倍程度の200万人。うち120万人が上海を含む華東地区に移動。これは江蘇省-南京に台湾人の思い入れがあるとの説もある。
崑山地区で最も成功している企業が統一企業である。同地区のモデルユニットにもなっている。ラーメン、ドリンク、乳製品が主。大陸に来て最も困ったことは1.政府への配慮、2.従業員教育、3.債権回収。日本企業が大陸にて成功していないのは日本のシステムや習慣をそのまま導入しようとするからとのご指摘あり。尚、台湾と中国のPoliticalな関係はビジネスでは全く問題なしとのこと。今後更なるヒアリングを進めたし。
(3)廣州
上海より飛行機で南に約2時間弱。
広東省の中心となりつつある廣州は、香港、深センの北側に位置し、香港経由で台湾人の流入の多い地域の一つとなっている。
1)広州本田
本田で最も成功している中国内工場。主にアコード、オデッセイの2種を生産販売。成功の大きな理由は米国で現在販売されている新機種をそのまま本工場で取り入れていること。VWや広州本田の前にこの地区で工場のあったプジョーなどは旧型の車種=古くなったラインをそのまま中国に持ち込み生産していたが、特にプジョーはフランス本国での低迷や中国での不振により撤退。インターネットの普及も手伝い、中国人は米国での人気車種が何なのかを見る機会も多くなり、米国内でポピュラーなアコードを生産し成功。中国はアメリカを見ているとの言葉は非常に印象的。食堂等の福利厚生関係は現地子会社を作り子会社が運営。
2)廣州松下空調器有限公司
蘇エアコン、コンプレッサー製造では日系企業として?1の工場。約7000名の社員の大半はティーンエイジャー。寮に入り3食付。有望な社員だけ正社員化する(約2割)。「社員は履いて捨てるほどいる」とのご担当部のお言葉に驚愕。人件費が安く、労働力も確保できる為、所謂『使い捨て』の人員を多用している。こうした状態が永遠続くとは考えにくい。また、現段階で成功しているとはいえ、過去に多くの失敗を重ねた上での現在であるからして、その苦労は想像を絶するのではと思慮。
3)台達電子有限公司(DELTA社)
同社は半導体系のOEMメーカーとしては非常に有名。Intelはじめ世界の有名PC企業の殆どが同社のクライアント。2万人弱の社員を抱え、その多くはやはりティーンエイジャー。女子社員の比率が高いとのこと。敷地内には飲食施設は勿論のこと、ディスコまである。給料も1,000元前後からと安いものの食住まで無償で整備され、勤務できる社員にとっては最高の環境である。統一崑山同様台湾と中国のPoliticalな関係はビジネスでは全く問題なしとのこと。また日本企業が大陸にて成功していないのは日本のシステムや習慣をそのまま導入しようとするからとの同様のご指摘をうけた。
4)ELCOTEQ社
同社はフィンランド系の携帯電話機器、PC製品のOEM生産を行っている企業であり、主なクライアントにノキア、エリクソン、モトローラ社がある。社員の多くはやはりティーンエイジャー。コンテスト等で報奨金を出し社員の士気を高めているとのこと。
所感
正直ここまでの発展をしているとはむしろ脅威である。正に「百聞は一見にしかず」。
当社のコンペティターも既に多数進出していると思われ(但し利益まで出しているかは不明であるが)、当社として少なくとも早期のJV等の計画を模索しないと、2008年の北京オリンピック前の進出では遅すぎると思慮。少なくとも本年度中のFSは必要。
FSする上では、やはりネガティブファクター(日系の殆どが進出し失敗、都心部、特別区以外はインフラはじめ劣悪な環境、債権回収が出来ない、教育に非常に労力を要す等)も忘れることなく更なる確認が必要。
初期段階では、ある程度地域を絞り上海三井物産のご協力も仰ぎ、2ヶ月程度のFSを行うことは可能。
現状ターゲットとしては上海中心部、蘇州園区のこの2地区。特に蘇州園区は既にコンペティターも進出しており、インフラ、語学、生活環境は他地域より優位。また近隣には統一崑山工場も存在し、地理的にも適当。因みに廣州は上海蘇州と比較してもマーケットボリュームは若干低い。
営業マンの目としては、既存のマーケットに進出するより、開発中の新規案件に注力する方が、マーケットが小さい初期段階では台湾同様持出しも多いが、当社の厨房デザインやノウハウを中国向けにアレンジできれば導入がスムーズな為、早期のFSはそれだけメリットも大きい。
表国内に留まっていると井の中の蛙になりがちですが、今回このような機会賜り非常に感謝しております。有難うございました。

以 上
 


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